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ケーススタディ

米国の法人税(5)

 
 

法人所得税の課税所得の算定で用いられる総所得も原則として個人所得税の課税所得の算定で用いられる総所得と共通の概念です。各種控除項目は個人所得税の算定で用いられる控除項目と類似しています。例えば減価償却などは個人と全く同じ取扱です。ただし個人所得税では事業のために生じた事業経費のほかに法が特に認めた生活費などの一定の個人的な費用も控除項目となっていました。これに対して株式会社は営利追求を目的とする団体ですから控除される項目は、事業に関連するものに限られます。支払利息(interest expense)の場合、個人の場合と異なり会社により支払われる利息は事業上の支払利息のはずですから原則として控除制限などは存在せず全額を控除することができます。災害損失(casualty loss)の控除では個人所得税算出で用いられる1件あたり$100の控除制限規定は法人にはありません。法人における貸倒損失(bad debts)は全て通常損失として扱われることになります。なぜならば法人の貸倒損失には個人のような事業上の貸倒損失と非事業上の貸倒損失といった区分は存在しないためです。欠損金(NOL/Net Operating Loss)は個人も法人も原則として2年の繰戻しと20年の繰越が可能です。会社からの配当は個人・法人の区別なく全額が株主の総所得に算入されることになります。日本のような益金不算入の考え方はありませんが受取配当控除(DRD/Dividends Received Deduction)の特別控除の制度があり多重課税が軽減されるようになっています。法人により稼得された所得には法人の段階と個人株主の段階で二重に課税が行われることを原則としています。受取配当控除は二重課税の排除を目的としているのではなく、三重課税以上の多重課税の軽減を目的としているものです。受取配当控除(DRD)は原則として、取得日を含まずに46日以上保有した株式について利用できます。株主の保有比率に応じて取扱が3種類に分かれます。○100%受取配当控除・・・80%以上の株式を所有している子会社から受領した配当には配当金額の100%を課税所得の計算上控除することができます。ただし連結納税している場合には控除できません。○80%受取配当控除・・・株式を20%以上所有している会社から受領した配当には配当金額の80%部分を課税所得の計算から控除することができます。ただし課税所得の80%が上限となります。しかしこの控除制限規定を適用せずに課税所得を計算した場合に欠損が生じる場合にはこの控除制限規定は適用されず80%相当全額を控除することができます。○70%受取配当控除・・・持分が20%未満の会社から受領した配当には配当金額の70%部分を課税所得の計算上で公徐することができます。但し控除制限規定は80%受取配当控除の場合と同様に適用されます。

(この記事は2008年4月15日号のEAST-WEST JOURNALに山口登が寄稿し掲載されたものです)

 
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